古綿を主原料に 糸を紡ぎ 染め 織る・編む

古綿工房 since 2018-02-06

HOME > 作品 > 物語り


古綿工房創設の経緯

                                       主催者  歌野 敬          
私は08年に母を亡くしました。父はその9年前に他界しており、空き家となった実家の整理に五島から何度も通いました。質素と倹約を旨としていた大正生まれの母。でも日常的に使うものについては使い勝手、耐久性、質を重視し選び抜くのを常としました。食器類はじめ厨房器具、一部の家具、普段着……そして布団もそのひとつでした。晩年に使うようになった羽布団を例外とし、3箇所の押入れに残されたずっしりと重い10組ほどの布団群を眺めるたびに、どうしたものかと思案します。捨てるわけにはいかない、かといって重い布団を誰か貰ってくれる可能性はない、悩みの種なのでした。

そんなときでした。綿を紡いで織る、というワークショップに参加する機会を得たのです。自給生活をやっている私もその世界を知識としては知っていたものの、自分にできるとは思ってなかった。ところが不細工ではありながらちゃんと糸が紡げ、マフラー織りの材料として立派に使えたのです。
私は「これだ!」と思いました。ワークショップの先生に尋ねると、古綿でも紡ぎは可能とのうれしい返事。折りしも私が住む(限界)集落の公民館はほとんど使われていない状態で、何か活用策をと検討中だったこともあり、「古綿工房」の名称とイメージがすぐに出来上がりました。公民館を利用して工房を立ち上げる。糸を紡いで織ったり編んだりなら集落のおばあちゃん達にも加わってもらえよう。なら販売にも精出し、孫への小遣い銭程度でも稼げるようになれば地域のためにもなる…と夢も膨らみます。
ワークショップから2ヶ月。集落の総会に提案し了解を得ると同時に、紡ぎ機・かせ上げ・簡易織り機その他をすぐに注文、3月末にはオープニングイベントという超特急の進行でした。

オープンしてしばらく、私は工房に毎日出かけました。メンバーが集まる作業日は日曜ですが、母の一周忌を前に集中して糸を紡ぐ必要があったのです。というのも、一周忌に参会する方々へ、母が残した布団を打ち直し、紡いだ糸でハンカチやボディタオルとして使えるようなちょっとした小物を記念品として贈る、と決めていたからです。形を変えた「形見分け」とでもなるのでしょうか。
糸は紡げてもそれを製品として仕上げるのは自分では無理。担当していただいたのは編み手の師匠であり、古綿工房の実質的な指導者役を担っている古井田真知子さん(メンバー紹介覧参照)に依頼。20枚ほどをぎりぎり間に合わせてくれました。

一周忌。阿蘇の温泉旅館で一泊の宴を持ちましたが、ひとしきり宴の話題を提供すするとともに、帰宅後、改めてじっくりと眺められた数人の方から、心のこもった品に感謝と感動の言葉をいただいたものでした。今からすれば糸というにも気恥ずかしい不均一のでこぼこ糸。でも最期まで使った母の布団で作ったものと思うと、ひとしおの感慨、何よりの供養と一人かみ締

めたものでした。

そのときに品物と一緒に添付した挨拶文書を掲げます。




新着情報

2013-12-11 工程をアップしました。

2013-12-3 京都展示会、無事終了しました。